背景
創業家の一員として株式を保有していたが、経営方針の違いから関係が悪化。
会社との直接交渉が難しく、株式の扱いについて判断できない状態。
対応内容
・株式の権利関係や一般的な選択肢を整理
・第三者への譲渡可能性を含めた検討
・専門家との連携を前提とした進行方法をご案内
結果
第三者を含めた選択肢を検討することで、感情的対立を避けた形で意思決定が可能に。
ご相談に来られたA氏のお父様は、九州地方の製造業B社の創業メンバーの一人でしたが、数年前にお亡くなりになり、兄弟3人で株式(5.4%)を相続しました。
B社は年商30億円、経常利益は1億円前後、現預金8億円、自己資本比率60%の優良企業ですが、ここ数年間は全く配当が出ておりません。
A氏は長年金融機関で働いていたため、決算書を読むことができ、B社の株式の株式価値は計算していましたが、社は業績が良いにもかかわらず株主還元は全く考えていません。株主総会で何度も配当を出すように発言してきましたが、現経営陣には完全に無視されていました。
それならばと、現社長に買取りを打診したところ、案の定、額面だったら買ってもよいと木で鼻を括ったような返事が返ってきました。それだけはなく、「わが社は配当をしていないので、配当還元価格なら株式価値は本来0なので、50円で買ってあげるだけも感謝して欲しい。」とまで言われました。
A氏兄弟が相続した時点では、B社の一株当たり簿価純資産は1,656円/株でしたが、現在は2,000円を超えてきています。価値が0な訳がありません。会社の回答に怒りを感じたA氏兄弟は株式を売却する事にし、我々に相談に来られました。
我々もB社の対応があまりにも酷く、ガバナンスもなっていない事から、B社株式の取得に向けA氏兄弟から株式を買い取る事にしましたが、B社は株券発行会社だったのです。
発行会社と定款、登記簿謄本に記載されてはいるものの、実際に株券は発行されていませんでしたので、A氏兄弟は早速B社に株券発行を要求しました。
注)定款や謄本で株券発行会社と記載されていても実際には発行していない会社が多数あります。
株券発行会社では株券の持ち主が株主です。よく税務申告書の同族会社判定欄に記載されているものを見て株主名簿と勘違いしている人が多数いらっしゃいますが、株券発行会社では株券が全てですので、ご注意ください。
しかしというか案の定、B社は株券発行に難色を示し、特殊な用紙、印刷方法なので半年かかるとか言って時間稼ぎをしてきました。そんな言い訳は通る訳はないのに、取り敢えず時間を稼ごう、もしかしたら、諦めるかもしれないという浅薄かつ、株主をないがしろにした回答です。
しかし、弁護士を通して正式に株券発行と、株主名簿の発行を要求したとこ 一か月後には株券と株主名簿が送られてきましたので、無事株式譲渡契約を締結する事ができました。
株券発行会社では物理的な「株券」を所有しているかどうかが全てです。
一部の質の悪い発行会社(もしくは経営者)はありとあらゆる理由を並び立て株券発行を遅らそうとしますので、早い段階で弁護士に依頼するのが一番です。

