「親が亡くなった後、株を持っていたらしいけれど、どうすればいいかわからない。」 「相続手続きは一通り終えたはずなのに、後から株式の存在が発覚してしまった。」
こうした状況に直面し、不安を感じている方は少なくありません。
株式は不動産や預貯金と比べて目に見えにくく、相続財産として見落とされやすい資産のひとつです。 そのまま放置してしまうと、相続税の追徴課税や配当金の受取期限切れ、最悪の場合は株式が競売にかけられてしまうなど、取り返しのつかない損失につながる可能性があります。
この記事では、亡くなった方の株式を放置することで生じるリスクと、発覚した際の正しい対処法、名義変更の手続きの流れまでをわかりやすく解説します。 「もしかしたら株があるかもしれない」と感じている方も、「すでに放置してしまっている」という方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
亡くなった方の株式を放置することで生じる問題とは

株式は死亡と同時に相続財産になる
亡くなった方(被相続人)が保有していた株式は、死亡した瞬間から相続財産として扱われます。 これは民法の規定によるもので、被相続人の財産はすべて、死亡と同時に相続人全員の共有財産へと移行します。
株式の場合、この状態を法律用語で「準共有」と呼びます。 準共有とは、物ではなく権利(株式という財産権)を複数人で共有している状態のことです。
たとえば、被相続人が証券口座にA社株を1,000株保有していたとします。 相続人が配偶者・子ども2人の合計3人いる場合、死亡と同時にその1,000株は3人の共有財産となります。 ただし、「誰が何株を取得するか」は、遺言書の内容か、相続人全員による話し合い(遺産分割協議)によって決まります。
株式は証券会社の口座や発行会社の株主名簿を通じて管理されています。 そのため、名義変更の手続きをしないままでいると、証券会社や発行会社には誰が権利を持っているかが見えない状態になってしまいます。 法律上は相続人の共有財産であっても、実務上は被相続人名義のままとなり、配当金の受け取りや売却などの手続きができなくなるのです。
また、相続税の申告という観点からも注意が必要です。 相続税は、被相続人の死亡日時点での財産評価をもとに申告します。 株式が相続財産に含まれているにもかかわらず申告していなかった場合、後から税務調査で指摘され、追徴課税の対象になるリスクがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株式の法的状態 | 死亡と同時に相続人全員の準共有財産になる |
| 名義変更前の実務上の問題 | 配当受取・売却・議決権行使ができない |
| 税務上の問題 | 申告漏れとして追徴課税の対象になり得る |
| 手続き先 | 証券会社または株式発行会社 |
名義変更をしないまま放置し続けるとどうなるか
被相続人名義のまま株式を放置し続けると、時間の経過とともに問題はどんどん深刻化していきます。 ここでは、放置期間が長くなることで起こる具体的な問題を整理します。
まず起こるのが、配当金の受取不能です。 株式を保有している間、企業から配当金が支払われることがあります。 しかし名義変更をしていない状態では、その配当金を受け取ることができません。 さらに、配当金には受取期限が設けられており、期限を過ぎると権利自体が消滅します。
次に問題になるのが、議決権の行使ができなくなる点です。 株主総会では、会社の重要な経営方針や役員の選任などが決議されます。 名義変更がされていない状態では、相続人が株主として議決権を行使することができず、特に非上場会社の株式を相続した場合は、経営上の大きな支障が生じることがあります。
また、相続人が増え続けるという問題も見逃せません。 放置している間に相続人のひとりが亡くなってしまうと、その方の相続が新たに発生します。 これが繰り返されると、最終的に株式の権利関係が非常に複雑になり、遺産分割協議を行うだけでも多大な時間と費用がかかるようになります。
長期放置によって起こりうる問題をまとめると、以下のとおりです。
- 配当金の受取期限が切れ、受け取れなくなる
- 議決権を行使できず、会社経営に影響が出る
- 相続人が増え、権利関係が複雑化する
- 株式が競売にかけられ、資産を失う
- 証券口座が凍結され、手続きができなくなる
- 休眠口座として国庫に帰属するリスクが生じる
放置すればするほど手続きが複雑になり、最終的に受け取れる財産が減少してしまう可能性があります。 気づいた段階で、できるだけ早く対処することが重要です。
株を放置した場合の5つのリスク

相続税の申告漏れで追徴課税される可能性がある
亡くなった方の株式を放置していると、相続税の申告漏れとして税務署から指摘を受け、追徴課税の対象となる可能性があります。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。 この期限内に株式を含む全ての相続財産を正確に申告しなければなりません。 株式の存在を把握していながら申告しなかった場合や、存在に気づかず申告漏れとなった場合も、税務署の調査によって発覚するケースが多くあります。
申告漏れが発覚した際に課される主なペナルティは以下のとおりです。
| ペナルティの種類 | 内容 | 税率 |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 期限内に申告しなかった場合に課される | 納付税額の15〜20% |
| 過少申告加算税 | 申告額が少なかった場合に課される | 納付税額の10〜15% |
| 延滞税 | 納付期限から納付日までの期間に応じて課される | 年2.4〜8.7% |
| 重加算税 | 意図的な隠蔽や偽りがあった場合に課される | 納付税額の35〜40% |
相続税の時効は原則として申告期限から5年ですが、意図的な申告逃れと判断された場合は7年に延長されます。 実際には時効が成立する前に税務調査が入ることがほとんどであり、「時効まで待てばいい」という考え方は非常に危険です。
また、株式の評価額は死亡日時点の株価を基準とするため、放置している間に株価が上昇していると、評価額がさらに高くなり、追徴課税の金額も増える可能性があります。 相続税の申告は、できるだけ早く税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
配当金を受け取れなくなる
株式を保有している間、企業は株主に対して利益の一部を配当金として支払います。 被相続人が株式を保有していた場合、本来であれば相続人がその配当金を受け取る権利を引き継ぎます。 しかし、名義変更の手続きをしないまま放置していると、配当金を受け取れなくなるリスクがあります。
配当金には受取期限が設けられています。 会社法上の規定では配当支払い開始日から10年とされていますが、多くの上場企業では定款により3〜5年程度に短縮しています。 この期限を過ぎると、受取権利は消滅し、いくら後から請求しても応じてもらえません。
たとえば、年間1株あたり50円の配当を出している会社の株式を1,000株相続した場合、年間5万円の配当金を受け取れるはずです。 それが3年間放置されれば、合計15万円を受け取れなくなる計算になります。 高配当利回りの株式であるほど、放置による損失は大きくなります。
また、相続開始後に支払われた配当金については、遺産分割が完了していない段階では各相続人が法定相続割合に応じた分の権利しか持てないという点にも注意が必要です。 相続人のひとりが勝手に全額を受け取ったとしても、直ちにその方のものになるわけではなく、後々トラブルの原因になります。
証券口座が凍結・売却される恐れがある
被相続人名義の証券口座は、証券会社が死亡の事実を知った時点で凍結されます。
ただし、証券会社が自動的に死亡を把握するわけではなく、多くの場合は遺族からの連絡によって初めて凍結処理が行われます。
口座が凍結されると、相続手続きが完了するまでの間、株式の売買や配当金の受取など、あらゆる取引ができなくなります。
口座の名義変更はできないため、相続人が新たに口座を開設し、そこへ株式を移管する手続きが必要になります。
さらに問題なのが、株主の所在が長期間不明な状態が続いた場合の取り扱いです。
会社法の規定により、株主の所在が不明で、かつ継続して5年間配当金を受領していない場合、会社が株式を競売または公開買付けによって売却できる場合があります。
売却によって得た代金は一定期間が経過すると国庫に帰属し、元の保有者(または相続人)は一切の金銭を受け取れなくなります。
| 状態 | 起こりうること |
|---|---|
| 死亡直後〜数年 | 口座凍結、配当金受取不能 |
| 所在不明5年以上 | 会社が株式を競売・公開買付けで売却できる場合がある |
| 売却後一定期間経過 | 売却代金が国庫へ帰属し、受け取れなくなる |
大切な財産を一切受け取れずに失ってしまわないためにも、早急な手続きが必要です。
改めて遺産分割協議が必要になる
相続手続きをすでに一通り終えたにもかかわらず、後から株式の存在が発覚した場合は、その株式についてあらためて遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議とは、相続人全員が集まって、誰がどの財産を受け取るかを話し合い、合意する手続きです。 この協議には相続人全員の参加と合意が必要であり、一人でも反対すると成立しません。
相続人の人数が多い場合や、相続人の間で関係が良好でない場合は、合意形成に多大な時間と手間がかかります。 特に、放置している間に相続人のひとりが亡くなり、次の代への相続(数次相続)が発生していると、協議に参加すべき人数がさらに増え、手続きが非常に複雑になります。
たとえば、祖父の株式を10年放置していたとします。 その間に子ども(法定相続人)のひとりが亡くなり、その方の子ども(孫)が相続人の立場を引き継いでいた場合、株式の遺産分割協議には祖父の残りの子どもたちと孫が全員参加しなければなりません。 協議がまとまらない場合は、家庭裁判所への調停・審判申し立てという方法もあり、解決まで数年かかることもあります。
遺産分割協議書の作成には相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要です。 早期に手続きを進めることが、後々の負担を大きく軽減します。
休眠預金扱いとなり資産が失われる
「休眠預金等活用法(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)」の規定により、10年以上取引のない預金口座の残高は、国が指定する団体へ移管されます。
この法律の対象は銀行・信用金庫などの預金口座に限られますが、証券口座にも別の観点から注意が必要です。
証券口座が長期間放置されると、証券会社によっては特別口座へ振り替えられ、管理が困難になるケースがあります。
また、会社法の規定により、株主の所在が不明で、かつ継続して5年間配当金を受領していない場合、会社が株式を競売または公開買付けによって売却できる場合があります。
売却代金も一定期間が経過すると国庫に帰属し、最終的に資産を受け取れなくなるリスクがあります。
「どうせいつかやろう」と先延ばしにしているうちに、資産を取り戻すための手続きそのものが複雑化してしまうのが、放置の最大のリスクです。
気づいたときが行動するタイミングだと考え、早めに専門家に相談することをおすすめします。
相続財産に株式が含まれていないか確認する方法

上場株式の調べ方
亡くなった方が上場株式を保有していたかどうかを確認するには、いくつかの方法があります。
まず最初に行うべきなのは、自宅に届いている書類の確認です。 証券会社は口座保有者に対して定期的に書類を送付しており、以下のような書類が自宅に残っていれば、取引のある証券会社を特定できます。
- 取引残高報告書(年4回、四半期ごとに送付される)
- 特定口座年間取引報告書(毎年1〜2月頃に送付される)
- 配当金の支払い通知書
- 証券会社からの郵便物(キャンペーンのお知らせなど)
これらの書類が見つかれば、どの証券会社に口座があるかがわかります。 証券会社が判明したら、その会社の相続手続き窓口に連絡し、被相続人名義の口座の有無と残高の確認を依頼しましょう。
書類が見当たらず証券会社を特定できない場合は、証券保管振替機構(ほふり)への情報開示請求が有効です。 ほふりは全国の証券会社の口座情報を一元管理している機関であり、所定の書類と手数料を提出することで、被相続人が保有していた株式の情報を調査してもらえます。
また、被相続人の銀行口座の通帳や取引明細を確認する方法も有効です。 証券口座への入出金や配当金の入金履歴があれば、取引のある証券会社を絞り込めます。
| 確認方法 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 自宅の書類を確認 | 取引残高報告書、配当通知書などを探す |
| 銀行口座の明細を確認 | 証券会社への振込や配当入金履歴を確認 |
| 証券会社に問い合わせ | 心当たりのある証券会社に直接連絡 |
| ほふりへの情報開示請求 | 全国の証券口座を一括調査してもらう |
| 確定申告書の控えを確認 | 株式の譲渡益や配当所得の記載を確認 |
非上場株式の調べ方
非上場株式は証券取引所に上場していないため、上場株式のように証券会社や「ほふり」で調べることができません。 非上場株式の保有状況を確認するには、発行会社に直接問い合わせるのが基本です。
被相続人が非上場株式を保有していた可能性が高いのは、次のようなケースです。
- 被相続人が自身で会社を経営していた
- 被相続人の親族や知人が経営する会社に出資していた
- 親族の会社の事業承継に関わっていた
こうした場合は、該当する会社に連絡を取り、被相続人名義の株式の有無と保有株数を確認しましょう。 被相続人の遺品の中に株主総会の招集通知や配当の振込通知などが残っていれば、それが非上場株式保有のサインである場合があります。
また、非上場株式の評価は上場株式のように市場価格で行えないため、「取引相場のない株式」として国税庁の通達に基づいた評価方法(純資産価額方式や類似業種比準方式など)を用います。 評価が複雑になりやすいため、早めに税理士や専門家に相談することが重要です。
死亡後に放置されていた株式が見つかったときの対処法

上場株式が見つかった場合の手続き
相続手続きが終わった後、または何年か経ってから上場株式の存在が発覚した場合は、速やかに以下の手順で対処することが大切です。
ステップ1:株式を保管している証券会社を特定する 取引残高報告書や配当通知書などをもとに、証券会社を特定します。 特定できない場合はほふりへの開示請求を行いましょう。
ステップ2:遺言書の有無を確認する 被相続人が遺言書を残していた場合は、その内容に従って相続手続きを進めます。 公正証書遺言の場合は公証役場で確認でき、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認手続きが必要です。
ステップ3:遺産分割協議を行う 遺言書がない場合、または遺言書に当該株式の記載がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。 協議の結果は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名・実印で押印します。
ステップ4:証券会社で相続手続きを進める 遺産分割協議書が完成したら、証券会社の相続手続き窓口に連絡し、必要書類を提出して名義変更手続きを行います。
ステップ5:相続税の修正申告を検討する すでに相続税の申告を終えている場合は、株式を含めた修正申告が必要です。 申告期限内であれば通常の申告を、期限を過ぎている場合は修正申告または期限後申告を行います。
非上場株式が見つかった場合の手続き
非上場株式は上場株式と異なるルールが適用されるため、手続きの流れが一部異なります。
まず、株式の発行会社に連絡し、被相続人が株主であることと相続の意思を伝えます。 発行会社は株主名簿を管理しており、被相続人の名義が記載されているかどうかを確認してくれます。
非上場株式の相続手続きで特に注意が必要なのが、定款による譲渡制限です。 多くの非上場会社では、株式を第三者に譲渡する際に会社の承認が必要な「譲渡制限」が定款に設けられています。 相続の場合は一般的にこの制限の対象外とされることが多いですが、会社の定款や状況によって異なる場合があります。 また、会社によっては相続人に対して株式の売渡請求(会社が買い取ることを求める権利)を行使できる規定を定めているケースもあるため、発行会社の定款内容を確認するか、専門家に相談することをおすすめします。
非上場株式は評価が複雑で、手続きも会社ごとに異なるため、専門家への相談が特に重要です。 非上場株式の相続に精通した専門家に早めに相談することで、スムーズに手続きを進められます。
株式相続の名義変更手続きの流れ

相続人の確定と遺産分割協議書の作成
必要書類を準備する
株式の相続手続きを進めるには、まず必要書類を揃えることから始まります。 相続手続きに必要な書類は、相続の状況によって異なりますが、基本的に以下のものが必要です。
| 書類の種類 | 内容・取得先 |
|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡の連続したもの) | 市区町村の窓口 |
| 被相続人の住民票の除票 | 市区町村の窓口 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村の窓口 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村の窓口 |
| 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印) | 自身で作成(弁護士・行政書士に依頼可) |
| 遺言書(ある場合) | 公証役場または自宅など |
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取得は、被相続人が生涯に複数回転籍(住所を移した)していると、各市区町村から取り寄せる必要があり、手間がかかります。 取り寄せの手間を省きたい場合は、専門家(司法書士や行政書士)に依頼する方法もあります。
また、2017年5月から施行された改正法により、法定相続情報証明制度を活用すると、一度作成した「法定相続情報一覧図」を各機関に提出することで、戸籍謄本の束を何度も取り寄せる手間を省くことができます。
金融機関に残高証明書を発行してもらう
遺産分割協議を正確に行うためには、被相続人が死亡した時点での株式の保有状況を正確に把握する必要があります。 そのために必要なのが残高証明書です。
残高証明書とは、死亡日時点において被相続人が保有していた株式の銘柄・数量・評価額を証明する書類です。 相続税の計算や遺産分割協議の基礎資料として使用されます。
残高証明書の発行を依頼する際には、証券会社に対して以下の書類を提出する必要があります。
- 被相続人の死亡を証明する戸籍謄本または死亡診断書
- 申請者(相続人)の本人確認書類
- 印鑑証明書
残高証明書の発行には数日〜数週間かかる場合もあるため、早めに手配することが重要です。
証券会社・株式発行会社での名義変更手続き
上場株式の名義変更手順
上場株式の名義変更は、証券会社の相続手続き専用窓口を通じて行います。 一般的な流れは以下のとおりです。
- 証券会社の相続手続き窓口に連絡し、必要書類の案内を受ける
- 相続人が新たに証券口座を開設する(口座がない場合)
- 所定の相続手続き申請書類に記入・捺印する
- 必要書類一式を証券会社に提出する
- 審査・確認が完了次第、相続人の口座へ株式が移管される
必要書類は証券会社によって異なりますが、一般的に以下のものが求められます。
- 証券会社所定の相続手続き申請書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
- 遺産分割協議書(原本)
- 残高証明書
手続き完了後は株式が相続人の口座に移管され、その後は自由に売却や保有継続を選べます。
非上場株式の名義変更手順
非上場株式の名義変更は、証券会社ではなく株式を発行している会社(発行会社)に対して直接手続きを行います。
基本的な流れは以下のとおりです。
- 発行会社に連絡し、被相続人の死亡と相続の意思を伝える
- 発行会社から指定された必要書類の案内を受ける
- 書類一式(戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書など)を提出する
- 発行会社が株主名簿の書き換えを行う
- 新しい株主として名義変更が完了する
非上場株式の手続きは、会社ごとにルールが異なります。 定款の内容や株主間の契約(株主間協定書など)によっては、追加の手続きや承認が必要になる場合もあります。
また、非上場株式の相続では評価額の算定が複雑になることが多く、税理士や弁護士、非上場株式の専門家と連携して進めることが安心です。
放置されていた株式に関するよくある質問

名義変更しないまま放置するとどうなる?
名義変更をしないまま放置すると、時間の経過とともに以下のような問題が生じます。
まず、株主としての権利をいつまでも行使できない状態が続きます。 配当金の受け取り、株主総会での議決権行使、株式の売却など、本来相続人が持つべき権利がすべて実質的に使えない状態になります。
さらに放置が続くと、株主所在不明として会社が株式を競売・公開買付けで売却できる状態(所在不明かつ継続して5年間配当金を受領していない状態)になり、最終的には代金が国庫に帰属してしまう可能性があります。 税務上のペナルティ(追徴課税)や、次の相続発生による権利関係の複雑化も深刻なリスクです。
「忙しいから後でやろう」と考えているうちに、取り返しのつかない事態になってしまう可能性があります。 発覚したら速やかに専門家へ相談しましょう。
未受領の配当金は受け取れる?
放置していた期間中に発生した配当金については、一定の条件を満たせば受け取ることができます。
受け取りの手順は以下のとおりです。
- 証券会社または株式発行会社(信託銀行を通じて配当を支払っている場合は信託銀行)に連絡する
- 未受領配当金の確認と受取を依頼する
- 必要書類(戸籍謄本・印鑑証明書・相続人全員の同意書など)を提出する
- 指定口座への振込または配当金領収証の発行を受ける
ただし、配当金には受取期限があります。 会社法の規定では支払い開始日から10年とされていますが、多くの上場企業では定款により3〜5年程度に短縮されています。 期限を過ぎた配当金は受け取れなくなる可能性が高いため、早急に手続きを進めることが大切です。
証券会社がわからない場合はどうすればいい?
どの証券会社に口座があるかわからない場合は、以下の順番で調べましょう。
まず、被相続人の自宅を丁寧に確認します。 証券口座に関する手がかりになる書類が残っている可能性があります。
| 探すべき書類・手がかり | 内容 |
|---|---|
| 取引残高報告書・年間取引報告書 | 証券会社名・口座番号が記載されている |
| 証券会社からの郵便物 | 封筒の差出人から特定できる |
| 確定申告書の控え | 株式の譲渡益・配当所得の申告先から推定できる |
| 銀行通帳の入出金履歴 | 証券会社への振込・配当入金履歴から特定できる |
| パソコン・スマホのブックマーク | ネット証券のサービス画面が残っている場合がある |
これらを確認しても特定できない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に証券口座の情報開示を請求する方法があります。 ほふりは全国の証券会社の口座情報を管理しており、所定の手数料と必要書類を提出することで、被相続人の証券口座の有無を調べてもらえます。
放置されていた株式にも相続税はかかる?
はい、放置されていた株式であっても、相続財産として相続税の課税対象になります。
ただし、すべての相続に相続税がかかるわけではありません。 相続税には基礎控除額があり、遺産の総額がこの金額を下回る場合は相続税がかかりません。
基礎控除額の計算式は以下のとおりです。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除額は3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円となります。 遺産の総額(株式の評価額を含む)が4,800万円を下回る場合、一般的には相続税の申告が不要とされることが多いです。 ただし、個別の状況によって判断が異なる場合もあるため、詳細は税理士にご確認ください。
すでに相続税の申告を済ませた後に株式が見つかった場合は、修正申告が必要になります。 修正申告を自ら行った場合は加算税が軽減される場合があるとされていますが、個別の状況によって取り扱いが異なります。 税務調査で発覚した場合はペナルティが重くなる可能性があるため、詳細は必ず税理士にご確認のうえ、早めに対応することをおすすめします。
非上場株式の相続でお困りの方は株式会社繁栄 少数株Laboへご相談ください
非上場株式の相続は、上場株式と比べて手続きが複雑で、評価額の算定や発行会社との交渉など、専門的な知識が必要になる場面が多くあります。 「どこに相談すればいいかわからない」「発行会社と話がうまく進まない」といったお困りごとを抱えている方も少なくありません。
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少数株Laboでは、以下のようなお悩みに対応しています。
- 被相続人が非上場会社の株式を保有していたが、手続き方法がわからない
- 遺産分割協議がまとまらず、株式の名義変更が進んでいない
- 非上場株式の評価額の算定を専門家に依頼したい
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まとめ
この記事では、亡くなった方の株式を放置することで生じるリスクと、正しい相続手続きについて解説しました。
重要なポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 株式は死亡と同時に相続財産(準共有)になるが、名義変更をしないと実務上の権利行使ができない
- 放置すると追徴課税・配当金受取不能・競売・休眠口座化など、さまざまなリスクが時間とともに深刻化する
- 株式の存在を確認するには、上場株式はほふり・証券会社、非上場株式は発行会社への問い合わせが基本
- 放置されていた株式が見つかったら、遺産分割協議を行い、速やかに名義変更手続きを進めることが重要
- 相続税の基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合は申告・修正申告が必要
株式の相続手続きは、不動産や預貯金と比べて見落とされやすく、放置によるリスクも大きい分野です。 「気づいたときが動くタイミング」と考え、できるだけ早く専門家に相談することが、大切な財産を守る第一歩になります。


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