非上場株式を売却しようとしたとき、「そういえば、いくらで取得したのかわからない」と気づくことは珍しくありません。 相続で引き継いだ株式や、創業時から長期間保有してきた株式は、取得の経緯が古く、記録が残っていないケースが多くあります。 しかし、取得価額が不明なまま売却を進めると、税務上の計算において非常に不利な取り扱いを受ける場合があります。 具体的には、取得価額が確認できない場合、売却代金のわずか5%しか取得費として認められない制度(概算取得費)が適用されることがあり、結果として課税対象となる譲渡所得が大きくなる可能性があります。 だからこそ、売却を検討する前に取得価額を確認しておくことが重要です。
本記事では、非上場株式の取得価額の基本的な考え方から、取得価額が不明な場合の確認手順、税務上の取り扱い、そして日頃からの記録管理の重要性まで、一般的な制度・仕組みを幅広く解説します。 個別の税額計算や申告方法については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
非上場株式の取得価額とは何か

非上場株式を売却した際に生じる譲渡所得を計算するうえで、「取得価額(取得費)」は非常に重要な役割を果たします。 取得価額とは、一言でいえばその株式を取得するためにかかった費用の合計額のことです。 売却価額から取得価額を差し引いた金額が譲渡所得の計算のもととなるため、取得価額が正確に把握できているかどうかで、税務上の結果が大きく変わる場合があります。 まずは、取得価額の基本的な概念と範囲について理解を深めておきましょう。
取得価額に含まれる費用の範囲
取得価額は、株式の購入代金や払込代金だけを指すわけではありません。 株式を取得するために要したすべての費用が含まれるのが一般的です。
具体的には、以下のような費用が取得価額に含まれる場合があります。
| 費用の種類 | 内容の例 |
|---|---|
| 購入代金・払込代金 | 株式を購入した際の対価、設立時の出資金など |
| 購入手数料 | 株式取得時に支払った仲介手数料など |
| 消費税 | 購入手数料にかかる消費税 |
| 名義書換料 | 取得時に発生した名義書換にかかる費用 |
| その他取得に要した費用 | 取得に直接関連する付随費用 |
これらを合計した金額が、1株あたりの取得価額の計算のもとになります。 単純に「いくらで買ったか」だけではなく、取得に関連するすべての費用を含めて考えることが大切です。 なお、取得後の維持費や管理費など、取得に直接関係しない費用は取得価額には含まれません。
取得価額と時価の違い
取得価額と混同されやすい概念として「時価」があります。 この2つは似ているように見えますが、意味が異なるため、区別して理解しておくことが重要です。
時価とは、ある時点においてその株式が通常の取引で成立すると考えられる価額のことです。 上場株式であれば市場での取引価格が時価にあたりますが、非上場株式には市場価格が存在しないため、時価の算定には税法上のルールや財産評価基本通達などに基づく方法が用いられます。
一方、取得価額はあくまで「実際にその株式を取得したときにかかった費用の額」であり、現在の株式の価値とは無関係です。 たとえば、創業時に1株あたり500円で払い込んだ株式が、事業の成長によって現在の時価が1株あたり10万円になっていたとしても、取得価額は500円のままです。 この差額が譲渡所得の計算に大きく影響するため、取得価額と時価を混同しないことが重要です。
また、非上場株式の取引は相対取引(当事者間の交渉)が中心となるため、売買価額が必ずしも税務上の時価と一致しないケースがある点にも注意が必要です。 時価と大きくかけ離れた価額での取引は税務上の問題が生じる場合がありますので、個別の判断については専門家へのご相談をおすすめします。
取得方法別にみた取得価額の考え方
非上場株式の取得価額は、どのような方法で株式を取得したかによって考え方が異なります。 取得の経緯を把握することが、取得価額を正確に確認するための第一歩です。
購入・払込みによって取得した場合
もっとも一般的な取得方法は、第三者から株式を購入したり、会社設立時や増資の際に出資金を払い込んで株式を取得したりするケースです。 この場合の取得価額は、実際に支払った購入代金または払込代金に、購入手数料や名義書換料などの付随費用を加えた金額が基本となります。
計算式のイメージは以下のとおりです。
1株あたりの取得費=(取得単価×取得株数+購入手数料+消費税)÷取得株数
たとえば、1株1万円で1,000株を購入し、手数料が5万円だった場合、1株あたりの取得費は(1,000万円+5万円)÷1,000株=1万50円となります。 この取得費に譲渡株数を掛けることで、譲渡株式全体の取得費が算出されます。
相続・遺贈・贈与によって取得した場合
相続や遺贈、または贈与によって株式を取得した場合、取得価額の考え方が購入とは異なります。 この場合、元の所有者(被相続人・遺贈者・贈与者)がその株式を取得したときの取得価額を引き継ぐのが原則です。
つまり、亡くなった方が30年前に50万円で購入した非上場株式を相続した場合、相続人の取得価額も50万円として引き継ぐことになります。 相続時の株式の評価額(相続税評価額)が取得価額になるわけではないため、この点は特に注意が必要です。
事業承継の多くのケースでは、この相続・贈与による取得が該当します。 元の所有者がいくらで取得したかを確認できない場合、取得価額の把握が困難になることがあるため、生前から記録を残しておくことが重要です。
新株予約権の行使によって取得した場合
会社から付与された新株予約権を行使して株式を取得した場合の取得価額は、付与された新株予約権の種類によって異なります。
一般的な考え方として、以下の区分が設けられています。
| 新株予約権の種類 | 取得価額の基本的な考え方 |
|---|---|
| 改正前商法に規定する新株予約権 | 権利行使日における価額(時価)が基本 |
| 会社法第238条第2項の決議等に基づき交付された新株予約権 | 権利行使日における価額(時価)が基本 |
| 有利な払込金額が設定された株式取得権 | 払込・給付期日における価額(時価)が基本 |
なお、税制適格ストックオプションの場合は取り扱いが異なる場合がありますので、個別の状況については税理士への確認をおすすめします。 新株予約権に関する税制は改正が行われることもあるため、最新の情報を国税庁のウェブサイトや専門家を通じて確認することが重要です。
その他の方法によって取得した場合
購入・相続・新株予約権の行使以外の方法で取得した株式については、「その取得の時における取得のために通常要する価額」が取得価額とされる場合があります。 ただし、この「通常要する価額」の判断には専門的な知識と判断が必要になるケースが多くあります。
たとえば、合併や会社分割によって取得した株式、無償で割り当てられた株式などは、それぞれに定められた考え方に基づいて取得価額が算定されます。 こうしたケースでは取得価額の計算が複雑になることがあるため、税理士や公認会計士などの専門家に相談することをおすすめします。
非上場株式の取得価額がわからない場合の確認手順

非上場株式の取得価額が不明な場合でも、段階的に確認を進めることで判明する可能性があります。 焦って概算取得費(売却代金の5%)で申告する前に、まず確認できる手段をすべて試してみることが重要です。 ここでは、確認の手順を順番に解説します。
まず確認すべき書類・情報源
取得価額を確認する第一歩は、手元にある書類や金融機関が保有する記録を確認することです。 以下の3つの方法を順番に試してみましょう。
取引報告書・受渡計算書などの証券書類
もっとも確実な確認方法は、株式取得時に交付された書類を探すことです。 証券会社や金融商品取引業者を通じて株式を取得した場合、以下のような書類が交付されていることがあります。
- 取引報告書
- 受渡計算書
- 取引残高報告書
- 月次報告書
これらの書類には、取得した株式の銘柄・数量・単価・手数料などが記載されており、取得価額を正確に確認できる可能性が高いです。 株式に関する書類は、売却を検討したときに初めて必要性に気づくことが多いため、普段から大切に保管しておくことが望まれます。
証券会社の顧客勘定元帳への問い合わせ
手元に書類が見当たらない場合は、取引した証券会社に問い合わせて、顧客勘定元帳を確認する方法があります。 証券会社は一定期間、顧客の取引記録を保管していることがあり、過去の取引情報から取得価額を確認できる場合があります。
一般的に、過去10年以内の取引であれば証券会社に問い合わせることで確認できる可能性が高いとされています。 10年より前の取引についても、任意に保存されている場合がありますので、購入から10年以上経過していても、まずは問い合わせてみることをおすすめします。 ただし、証券会社によって保管期間や対応方法が異なるため、早めに確認することが重要です。
預金通帳・日記帳などの手元記録
証券会社からの書類や顧客勘定元帳でも確認できない場合は、手元に残っている個人的な記録を探してみる方法があります。
確認の手がかりとなる記録の例は以下のとおりです。
- 預金通帳(株式購入時の引き落とし記録)
- 日記帳や家計簿(取引の記録)
- 古い領収書や契約書
- 当時の通信文書や覚書
預金通帳などで取引金額が確認できれば、その金額を取得価額として計算に用いることができる場合があります。 また、取得した時期が特定できれば、その時期の情報をもとに取得価額を合理的に算定できるケースもあります。 ただし、この方法の適否については個別の判断が必要なため、税理士への確認をおすすめします。
発行会社への確認が有効なケース
非上場株式の場合、上場株式と異なり証券取引所での取引記録がありません。 そのため、発行会社(株式を発行した会社)に直接確認することが有効な手段になる場合があります。 特に同族会社や中小企業の株式を長期間保有しているケースでは、発行会社への照会が取得時期や取得経緯の把握に役立つことがあります。
株主名簿・株式異動証明書による取得時期の把握
発行会社は株主名簿を管理しており、株式の異動履歴(誰が、いつ、何株を取得・譲渡したか)が記録されています。 株主名簿や株式異動証明書を確認することで、株式の取得時期を把握できる場合があります。
上場会社の場合は、株主名簿の管理を信託銀行などの証券代行会社に委託していることが一般的です。 非上場会社の場合は発行会社が直接管理しているケースが多く、会社に問い合わせることで情報を得られる可能性があります。
確認できる可能性がある情報の例は以下のとおりです。
| 確認先 | 確認できる可能性がある情報 |
|---|---|
| 発行会社の株主名簿 | 取得時期・取得株数・前の株主名など |
| 株式異動証明書 | 名義書換の日付・異動の内容 |
| 会社の登記簿 | 設立時の資本金額・増資の履歴など |
名義書換日をもとにした取得価額の推定
株式異動証明書などで名義書換日が確認できた場合、その日付をもとに取得時期を特定し、当時の状況から取得価額を推定できるケースがあります。
たとえば、名義書換日が判明すれば、当時の増資時の払込金額や、前の所有者の取得価額などを調査する手がかりになります。 ただし、名義書換日と実際の取得日が一致しない場合もあるため、確認した情報の正確な取り扱いについては税理士に相談することをおすすめします。
上記の方法でも確認できない場合の対処方針
ここまで紹介した方法をすべて試しても取得価額が判明しない場合は、税理士など税務の専門家に相談することを強くおすすめします。 専門家であれば、入手可能な情報をもとに合理的な取得価額の算定方法を検討したり、税務上の適切な取り扱いについてアドバイスをもらったりすることができます。
取得価額が最終的に不明な場合には、後述する「概算取得費(売却代金の5%)」を用いた計算方法が税務上認められる場合があります。 ただし、この方法は課税対象となる譲渡所得が大きくなる可能性がある点に留意が必要です。 安易に概算取得費を選択する前に、まず専門家への相談を経ることが重要です。
取得価額が不明な場合の税務上の取り扱い(概算取得費)

取得価額がどうしても確認できない場合、税務上は一定のルールに基づいて対応する方法が設けられています。 ここでは、概算取得費の制度の概要と留意点について解説します。
概算取得費(売却代金の5%)とはどのような制度か
株式等を譲渡した場合において、相続したものであったり購入した時期が古かったりするなどの理由で取得費が不明な場合、同一銘柄の株式等ごとに取得費の額を売却代金の5%相当額とすることが認められる場合があります(租税特別措置法取扱通達37の10・37の11共-13)。
これを「概算取得費」といいます。 たとえば、非上場株式を3,000万円で売却し、取得費が不明な場合には、売却代金の5%にあたる150万円を取得費とすることができる場合があります。
この制度は、取得費の記録が残っていない場合に納税者の利便性を考慮した取り扱いとして設けられています。 ただし、実際の取得費が売却代金の5%を下回る場合にも、概算取得費を用いることが認められる場合があります。 つまり、実際の取得費と概算取得費(5%)を比較し、高いほうを取得費として選択できる場合があります。
概算取得費は個人にのみ適用される制度である
概算取得費の制度について、見落とされやすい重要なポイントがあります。 概算取得費(売却代金の5%)は、個人が株式を譲渡した場合にのみ適用できる制度であり、法人には適用されません。
法人は、貸借対照表の作成など帳簿管理が義務付けられており、取得価額が把握できているという前提があるためです。 法人が非上場株式を譲渡する場合、取得価額が不明であっても概算取得費を使うことはできず、別の方法で取得価額を合理的に算定する必要があります。
個人と法人では取得価額が不明な場合の対応が根本的に異なるため、自分が個人として保有している株式か、法人として保有している株式かを明確に把握したうえで、専門家に相談することが重要です。
概算取得費を用いる場合の留意点
概算取得費は制度として認められているものの、使用する際にはいくつかの重要な留意点があります。
1. 課税対象の譲渡所得が大きくなる可能性がある 売却代金の5%しか取得費として認められないため、残りの95%が譲渡所得として課税対象になり得ます。 たとえば、1億円で売却した場合に概算取得費を用いると、取得費は500万円となり、9,500万円が課税対象の譲渡所得になる可能性があります。 実際の取得費がこれより高い可能性がある場合は、必ず取得費を調査することをおすすめします。
2. 申告後の取り扱いは状況によって異なる 概算取得費を選択して申告した後の取り扱いは、状況によって異なります。 実際の取得費が概算取得費(5%)よりも高いことが後から判明した場合、更正の請求が認められる場合があるとされています。 一方、実際の取得費で申告した後に「概算取得費のほうが有利だった」として更正の請求をすることは、「計算の誤り」ではなく「選択の変更」にあたるため、認められない場合があるとされています。 いずれの場合も個別の判断が必要なため、税理士にご相談ください。
3. 同一銘柄内で一部のみに概算取得費を適用することはできない 同一銘柄の株式の中に、取得価額が明らかなものと不明なものが混在している場合、一部だけに概算取得費を適用することはできません。 全部について5%とするか、合理的な方法で取得価額を計算するかのいずれかを選択する必要があります。
複数回取得している場合の取得価額の計算方法(総平均法に準ずる方法)
同一銘柄の非上場株式を2回以上にわたって取得し、その一部を譲渡する場合、取得価額の計算には「総平均法に準ずる方法」が用いられます。 これは、取得のタイミングや価格が異なる株式の平均的な取得価額を算出する方法です。
計算の基本的な考え方は以下のとおりです。
1株あたりの取得価額=(前回譲渡時までの購入価額の総額+その後今回譲渡までの購入価額の総額)÷(前者に係る株数+後者に係る株数)
具体的なイメージとして、以下のような取引を例に考えてみます。
| 取引時期 | 内容 | 株数 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| X1年4月 | 購入 | 1,000株 | 8,000円 | 800万円 |
| X1年5月 | 購入 | 2,000株 | 9,000円 | 1,800万円 |
| X1年10月 | 譲渡 | 2,000株 | 10,000円 | 2,000万円 |
この場合、X1年10月の譲渡時の1株あたりの取得価額は以下のように計算されます。
(800万円+1,800万円)÷(1,000株+2,000株)=約8,667円(1円未満切り上げ)
譲渡した2,000株の取得費は、8,667円×2,000株=1,733万4,000円となります。 このように、複数回の取得がある場合は単純平均ではなく、総平均法に準ずる方法による計算が必要です。 計算が複雑になる場合も多いため、税理士への相談をおすすめします。
非上場株式の譲渡所得にかかる税金の基本的な仕組み

非上場株式を売却して利益が生じた場合、その利益には税金がかかります。 ここでは、譲渡所得の計算の考え方と税率の概要について、一般的な仕組みを解説します。 個別の税額計算や申告については、必ず税理士にご確認ください。
譲渡所得の計算構造(一般的な考え方)
非上場株式を売却した際に生じる所得は、税務上「譲渡所得」として扱われます。 譲渡所得の金額は、売却価額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が基本となります。
計算の基本的な構造は以下のとおりです。
譲渡所得の金額=売却価額(総収入金額)-(取得費+譲渡費用)
ここでいう「譲渡費用」とは、売却に際して支払った手数料など、売却に直接かかった費用のことです。 取得費には、前述のとおり購入代金や手数料などが含まれます。
取得費が大きいほど譲渡所得は小さくなり、課税対象が減少します。 逆に取得費が小さいほど(あるいは概算取得費5%を用いた場合ほど)、課税対象となる譲渡所得が大きくなる傾向があります。 取得価額を正確に把握することの重要性が、ここに表れています。
申告分離課税の概要と税率(20.315%)
非上場株式の譲渡所得は、「申告分離課税」という課税方式が適用されます。 申告分離課税とは、給与所得や事業所得などの他の所得とは切り離して、別途税額を計算する方式です。
税率については、一般的に以下の内訳が適用されます。
| 税目 | 税率 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税(所得税額の2.1%) | 0.315% |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
なお、復興特別所得税は2013年から2037年まで課税される制度です。 非上場株式の譲渡所得には、利益の金額に関わらずこの税率が適用されるのが一般的です(法人が譲渡する場合の税務は個人と異なります)。
申告分離課税である以上、確定申告が原則として必要となります。 申告の手続きや必要書類については、税理士や税務署へご確認ください。
一般株式等の損益通算に関する制度上の考え方
複数の株式を保有している場合、一方で売却益が出て、他方で売却損が出るケースがあります。 このような場合に、利益と損失を相殺できるかどうかという「損益通算」の問題が生じます。
非上場株式は税務上「一般株式等」に分類されます。 一方、上場株式は「上場株式等」に分類されます。
重要なポイントとして、一般株式等(非上場株式)の譲渡損失は、上場株式等の譲渡所得と相殺(損益通算)することは原則としてできません(国税庁No.1463)。 同様に、上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡所得から控除することも原則として認められていません。
つまり、非上場株式同士の損益通算は可能な場合がありますが、非上場株式と上場株式の損益通算は原則として認められていない点に注意が必要です。 また、上場株式等のような「翌年以降への損失の繰越控除制度」は、一般株式等には設けられていません。 個別の状況については、必ず税理士に確認することをおすすめします。
取得価額の記録・管理において注意したい点

取得価額の問題は、売却を検討した段階で初めて気づくことが多いものです。 しかし、日頃からの記録管理と事前の備えによって、問題を未然に防ぐことができます。 ここでは、取得価額の管理に関する重要な注意点を解説します。
取引書類の保管が重要な理由
株式に関する書類は、取得した時点では重要性を意識しにくいものです。 しかし、将来の売却時や相続時に取得価額を証明するうえで、取引書類は非常に重要な証拠となります。
保管しておくべき主な書類の例は以下のとおりです。
| 書類の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 株式取得時の契約書・覚書 | 売買価額・取得日・取得株数など |
| 取引報告書・受渡計算書 | 取得単価・手数料・消費税など |
| 払込金の領収書・振込記録 | 払込金額の証明 |
| 増資・設立時の書類 | 出資金額・株数など |
| 相続・贈与に関する書類 | 被相続人の取得価額に関する情報 |
これらの書類は、紙媒体であればスキャンしてデジタルデータとしても保存しておくことをおすすめします。 時間の経過とともに書類が劣化したり紛失したりするリスクを減らすことができます。 保管する期間については、税理士にご相談ください。
相続・事業承継で株式を引き継ぐ際に確認しておくべきこと
相続や事業承継によって非上場株式を引き継ぐ際は、被相続人・前オーナーが保有していた株式の取得価額を必ず確認しておくことが重要です。 前述のとおり、相続・贈与による取得の場合は元の所有者の取得価額を引き継ぐのが原則です。
引き継ぐ際に確認しておくべき情報の例は以下のとおりです。
- 被相続人(または贈与者)がその株式をいつ、いくらで取得したか
- 取得時の書類(契約書・領収書・取引報告書など)が存在するか
- 複数回にわたって取得している場合の取得履歴
相続発生後や事業承継後に調査を始めると、資料の入手が困難になる場合があります。 生前のうちに取得価額に関する情報と書類を整理し、承継する側に伝えておくことが、将来の税務上のトラブルを防ぐうえで非常に有効です。 相続・事業承継の専門家や税理士への相談も、早めに行うことをおすすめします。
専門家への相談が特に必要になるケース
以下のような状況では、自己判断を避け、早めに税理士や公認会計士に相談することを強くおすすめします。
取得価額の確認が特に難しいケースの例
- 相続・贈与で取得した株式で、被相続人の取得記録が残っていない
- 合併・会社分割・株式交換によって取得した株式がある
- 新株予約権の行使によって取得した株式の取得価額が不明
- 複数回にわたって取得した株式が混在しており、履歴が複雑
- 取得から長期間が経過しており、書類がほとんど残っていない
税務申告に影響が大きいケースの例
- 売却益が大きく、概算取得費(5%)を用いると税負担が著しく重くなる可能性がある
- 法人として株式を保有しており、概算取得費が適用できない
- 取得価額の計算方法について判断に迷っている
専門家は、入手可能な情報をもとに合理的な取得価額を算定する方法の検討や、税務上の取り扱いに関する適切なアドバイスを提供することができます。 取得価額が不明なまま安易に申告することは、後々の問題につながる場合もあるため、不明点がある場合は必ず専門家に確認することをおすすめします。
非上場株式の取得価額でお困りの方は、少数株Laboへご相談ください

非上場株式の取得価額の確認や、売却・相続に伴う税務上の取り扱いは、上場株式とは異なる専門知識が求められる分野です。 「書類が見当たらず取得価額がわからない」「概算取得費を使うしかないのか不安」「相続で引き継いだ株式をどう処分すればいいかわからない」といったお悩みは、株式会社繁栄が運営する少数株Laboにご相談ください。
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- 概算取得費(5%)を使うと税負担が大きくなりそうで、ほかの方法がないか知りたい
- 発行会社への確認や株主名簿の調査を、どう進めればいいかわからない
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まとめ|非上場株式の取得価額がわからないときにやるべきこと
本記事では、非上場株式の取得価額がわからないときに知っておきたい基本的な知識と確認手順について解説しました。 最後に、重要なポイントを整理します。
取得価額がわからないときのステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 手元の書類(取引報告書・領収書など)を確認する |
| 2 | 証券会社の顧客勘定元帳への問い合わせを行う |
| 3 | 預金通帳・日記帳など個人的な記録を探す |
| 4 | 発行会社に株主名簿・株式異動証明書を確認する |
| 5 | 上記で不明な場合は税理士に相談する |
取得価額が最終的に不明な場合には、個人であれば概算取得費(売却代金の5%)が認められる場合がありますが、この方法では課税対象となる譲渡所得が大きくなる可能性があるため、できる限り実際の取得価額を調査することが重要です。 また、概算取得費は個人にのみ適用される制度であり、法人には適用できない点も忘れてはなりません。
日頃から取引書類を適切に保管しておくこと、そして相続・事業承継の際に取得価額の情報を引き継ぐことが、将来的なトラブルを防ぐ最善の対策です。 取得価額の確認方法や税務上の取り扱いについて不明点がある場合は、税理士・公認会計士などの専門家に早めにご相談ください。 本記事の内容はあくまで一般的な制度・仕組みの説明であり、個別の税額計算や申告については必ず専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。

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