非上場会社の株式を保有していると、ある日突然、会社や大株主から「株式を買い取らせてください」という通知が届くことがあります。 これは、スクイーズアウトと呼ばれる手続きによるものです。 多数株主や特別支配株主が、少数株主の同意を得ることなく、株式を強制的に取得できる制度であり、通知を受けた株主にとっては驚きと戸惑いの大きい出来事でしょう。
とくに気になるのが、提示された買取価格が本当に妥当なのかという点です。 「もっと高く売れたのではないか」「算定の根拠がよくわからない」と、不安を感じる方も少なくありません。 実際に、買取価格をめぐって裁判所での争いに発展するケースも、決して珍しくないのです。
この記事では、スクイーズアウトの買取価格がどのように決まるのか、その算定方法から、価格に納得できない場合の対応方法、さらに過去の裁判事例までを、できるだけわかりやすく解説します。 少数株主として株式を保有している方はもちろん、これから買取を検討する会社側の担当者にとっても、参考になる内容です。 最後までお読みいただくことで、自分が置かれている状況を客観的に把握し、次にとるべき行動を考えるきっかけになるはずです。
スクイーズアウトとは

少数株主を強制的に排除する仕組み
スクイーズアウトとは、多数株主や特別支配株主が、少数株主の保有する株式を強制的に買い取る手続きのことを指します。 英語の「squeeze out」は、直訳すると「締め出す」「押し出す」という意味を持つ言葉です。
通常、株式を売買するには、売り手と買い手の双方が合意する必要があります。 しかし、スクイーズアウトの制度を利用すれば、少数株主が売却に反対していたとしても、法律で定められた手続きに従うことで、株式を取得できる場合があります。
もちろん、少数株主の権利を一方的に奪うことにはならないよう、法律上はいくつかの保護措置が設けられています。 具体的には、買取の対価が「公正な価格」でなければならないという原則や、価格に不服がある場合には裁判所に判断を求められる制度などです。 これらの保護措置については、後の章で詳しく説明します。
少数株主の立場からすると、ある日突然、株主としての地位を失うことになるため、心理的な負担は決して小さくありません。 とはいえ、法律上の手続きに則って行われるものであるため、まずは冷静に、自分の状況を正確に理解することが大切です。 制度の仕組みを知っておくことは、提示された条件が適正かどうかを判断する第一歩になります。
スクイーズアウトが利用される主なケース
スクイーズアウトが実際に利用される場面としては、主に次のようなケースが挙げられます。
| 利用されるケース | 背景・目的 |
|---|---|
| M&Aによる完全子会社化 | 買収先企業の株主を統一し、経営統合をスムーズに進めるため |
| 相続による株式分散への対応 | 相続を繰り返すうちに株主が増え、管理が困難になった株式を集約するため |
| 株主間の対立の解消 | 経営方針をめぐって対立する少数株主がいる場合に、意思決定を迅速化するため |
| 上場廃止(非公開化) | 公開買付け(TOB)などで大半の株式を取得した後、残りの株主を整理するため |
とくに相続による株式の分散は、非上場会社にとって深刻な課題になりやすいテーマです。 創業から数十年が経過した会社では、株式が何十人もの株主に分かれてしまい、なかには会社と一切連絡が取れない株主が存在するケースもあります。 このような状態が続くと、株主総会の開催や意思決定に支障が出るため、株式の集約を目的としてスクイーズアウトが選択されることがあるのです。
一方で、株主間の対立が背景にある場合は、少数株主の側にも相応の言い分があることが多く、買取価格をめぐる争いに発展しやすい傾向があります。 自分が保有する株式について、どのような経緯でスクイーズアウトの対象となったのかを整理しておくと、今後の対応を考えるうえで役立ちます。
スクイーズアウトの買取価格(対価)はどのように決まるのか

買取価格を決めるのは多数株主・特別支配株主側
スクイーズアウトにおける買取価格は、原則として、買収を行う多数株主や特別支配株主の側が決定します。 少数株主は、価格の決定プロセスに直接関与することができず、提示された金額を受け入れるか、後述する裁判所への申立てによって争うかという選択を迫られることになります。
この仕組みだけを見ると、少数株主にとって不利な制度のように感じられるかもしれません。 しかし、多数株主が一方的に不当な安値を提示できるわけではなく、法律上、「公正な価格」による対価の支払いが前提とされています。 公正な価格から著しく乖離した金額が提示された場合には、少数株主が裁判所に是正を求める道が用意されているのです。
買取価格の決定にあたっては、多くの場合、公認会計士などの専門家による株価算定(バリュエーション)が行われます。 算定結果はあくまで会社側が採用する参考資料の一つであり、それがそのまま「公正な価格」と認められるとは限りません。 少数株主としては、提示された価格の根拠となった算定方法や前提条件を、可能な範囲で確認しておくことが望ましいでしょう。
「公正な価格」が求められる理由
なぜスクイーズアウトの対価には、「公正な価格」が求められるのでしょうか。 その背景には、少数株主が意思に反して株主としての地位を失うという、極めて重い効果が生じる点があります。
通常の株式売買であれば、価格に納得できなければ、そもそも取引に応じなければよいだけです。 しかし、スクイーズアウトの場合、少数株主には売却を拒否する選択肢が実質的にありません。 そのため、法律は、少数株主が経済的に不利益を被らないよう、対価の適正性を担保するための仕組みを用意していると考えられています。
具体的には、以下のような保護が制度上組み込まれています。
- 買取価格に不服がある場合、裁判所に価格決定の申立てを行える制度がある
- 手続きの各段階で、株主に対する通知や書面の備置きなど、情報開示の機会が設けられている
- 手法によっては、株主総会での特別決議など、一定のハードルを設けている
これらの制度は、あくまで一般的な保護の枠組みであり、個別の事案において具体的にどう判断されるかは、事案ごとの事情によって異なります。 自分のケースにおいて、提示された価格が公正といえるかどうかを判断する際は、弁護士や公認会計士などの専門家に相談することをおすすめします。
買取価格の算定に用いられる主な評価手法
非上場株式の価値を算定する方法は、大きく3つのアプローチに分類されます。 それぞれ着眼点が異なるため、複数の手法を組み合わせて評価される場合が一般的です。
| アプローチ | 着眼点 | 代表的な手法 |
|---|---|---|
| インカムアプローチ | 将来の収益性 | DCF法など |
| コストアプローチ | 貸借対照表上の純資産 | 時価純資産法など |
| マーケットアプローチ | 市場取引の実勢 | 類似会社比較法(マルチプル法)など |
インカムアプローチ(DCF法など)
インカムアプローチは、対象会社が将来生み出すと見込まれる収益やキャッシュフローを基準に、株式の価値を算定する方法です。 代表的な手法であるDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)は、将来の予想キャッシュフローを、一定の割引率を用いて現在の価値に引き直すことで、企業価値を求める考え方です。
この手法の強みは、会社ごとの成長性や収益力の違いを、評価に反映しやすい点にあります。 一方で、将来予測には一定の仮定が入り込むため、採用する事業計画や割引率の設定次第で、算定結果が変動しやすいという側面もあります。 実際の裁判例においても、DCF法によって算定された価格の妥当性そのものが、争点になった事例が見られます。
コストアプローチ(時価純資産法など)
コストアプローチは、会社が保有する資産と負債の実態を時価で評価し直し、その差額をもとに株式の価値を算定する方法です。 代表的な手法である時価純資産法では、貸借対照表上の帳簿価格ではなく、不動産や有価証券などを時価に評価し直したうえで、純資産額を計算します。
この手法は、過去に取得した資産の含み益や含み損を評価に反映できる点が特徴です。 とくに、長年保有している不動産のように、取得時から時価が大きく変動している資産がある会社では、時価純資産法による評価結果と、帳簿価格をベースにした評価結果とで、大きな差が生じることがあります。 後述する裁判事例でも、この含み益の評価をめぐって争いになったケースが存在します。
マーケットアプローチ(類似会社比較法など)
マーケットアプローチは、実際の市場取引や類似する会社の事例を基準に、株式の価値を算定する方法です。 代表的な手法である類似会社比較法(マルチプル法)では、事業内容や規模が類似する上場企業の株価指標(PER・PBRなど)を参考に、対象会社の価値を推計します。
この手法は、市場の実勢を反映できる点が強みですが、非上場会社の場合、完全に条件が一致する類似会社を見つけることが難しいという課題もあります。 そのため、実務上は、インカムアプローチやコストアプローチと組み合わせて、総合的に評価が行われることが一般的です。
非上場株式特有の評価上の留意点(非流動性ディスカウントなど)
非上場株式の評価では、上場株式にはない特有の論点が存在します。 その代表例が、非流動性ディスカウント(市場性がないことによる価値の減額)や、少数株主が保有する株式であることに着目した少数株主割引という考え方です。
非上場株式は、上場株式のように市場で自由に売買できるわけではありません。 そのため、換金性の低さを理由に、一定の評価減を行うべきだという考え方があります。 ただし、こうしたディスカウントを適用できるかどうかは、手続きの類型によって裁判所の判断が分かれる可能性があります。
たとえば、組織再編にともなう締め出し型のスクイーズアウトの場面と、譲渡制限株式の譲渡承認に関連する売買価格決定の場面とでは、前提となる制度趣旨が異なるため、ディスカウントの可否に関する判断も一様ではないとされています。 どのようなケースでディスカウントが認められる可能性があるのかは、専門的な判断を要する部分であるため、個別の事案については弁護士や株価算定の専門家に確認することをおすすめします。
スクイーズアウトの主な手法と買取価格への影響

スクイーズアウトには、複数の実現手法があります。 どの手法を選択するかによって、必要となる議決権の割合や手続きの流れ、さらには買取価格の決定プロセスにも違いが生じます。 ここでは、代表的な5つの手法について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
株式等売渡請求(特別支配株主による売渡請求)
株式等売渡請求は、議決権の90%以上を保有する「特別支配株主」が利用できる制度です。 株主総会の決議を経ることなく、取締役会の承認のみで手続きを進められる点が大きな特徴とされています。
特別支配株主から売渡請求を受けた少数株主は、売渡そのものを拒否することは認められていないとされています。 ただし、通知された買取価格に不満がある場合は、裁判所に対して価格決定の申立てを行うことができるとされています。 この申立ては、あくまで価格そのものを争うものであり、売渡の効力自体を止めるものではない点に注意が必要です。
意思決定の手続きが比較的簡素であることから、90%以上の議決権をすでに確保している会社にとっては、迅速にスクイーズアウトを完了できる手法といえます。
株式併合
株式併合は、複数の株式を1株に併合する手続きです。 たとえば、1,000株を1株に併合すると、保有株式数が1,000株に満たない少数株主の株式は、1株に満たない端数(端数株式)となる場合があります。
1株に満たない端数には議決権が認められないため、会社がその端数分を買い取ることで、実質的にスクイーズアウトが完了する仕組みです。 株式併合を行うには、株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要とされており、株式等売渡請求と比べると、一定のハードルが設けられています。
買取価格に不服がある株主は、法律で定められた手続きに従い、裁判所に価格決定の申立てを行うことができるとされています。 実務上、スクイーズアウトの手法として株式併合が広く利用されているという指摘もあります。
全部取得条項付種類株式
全部取得条項付種類株式は、会社が株主総会の特別決議により、発行済株式の全部を取得できる旨を定める制度です。 かつては、スクイーズアウトの代表的な手法として広く利用されていましたが、株主総会の特別決議が複数回必要になるなど、手続きの負担が比較的大きいという特徴があります。
取得の対価に不満がある株主は、取得日の一定期間前から取得日の前日までの間に、裁判所に対して取得価格の決定を申し立てることができるとされています。 実際に、この手法をめぐる価格決定の裁判例は数多く蓄積されており、後述する裁判事例でも重要な位置を占めています。
近年は、後述する株式併合を用いる手法が主流になりつつあるとされていますが、過去の判例が豊富に存在する点から、あえてこの手法が選択されるケースもあるようです。
株式交換
株式交換は、主に親会社と子会社との間で、株式を交換する際に利用される制度です。 スクイーズアウトの手法として株式交換を用いる場合、少数株主に対する対価として、株式ではなく現金が交付されるケースがあります。
たとえば、A社がB社を完全子会社化する際に、B社の少数株主が保有する株式をすべてA社に譲渡させ、その対価として現金を交付すれば、B社を完全子会社にできる場合があります。 対価を現金にする場合、株式を対価とする場合と比べて税務上の取扱いが異なる可能性があるため、採用にあたっては税理士や専門家に確認することが望ましいとされています。
株式公開買付(TOB)との組み合わせ
株式公開買付(TOB)は、不特定多数の株主に対して、買付価格や買付株式数、買付期間などを提示し、同意した株主から株式を買い集める手法です。 TOBはあくまで任意の取引であるため、TOBだけでは、少数株主全員から株式を取得できるとは限りません。
そこで実務上は、まずTOBによって議決権の大部分を確保したうえで、残った少数株主に対して、株式併合や株式等売渡請求などの手法を用いてスクイーズアウトを完結させる、「二段階買収」と呼ばれる進め方が一般的とされています。 TOBの段階で提示された価格と、その後のスクイーズアウトで提示される価格が異なる場合もあるため、両者の関係については、個別に確認しておくとよいでしょう。
提示された買取価格に不服がある場合の対応

裁判所への価格決定申立て
スクイーズアウトによって提示された買取価格に納得できない場合、少数株主には、裁判所に価格決定の申立てを行うという選択肢が用意されています。 これは、会社法上の制度として設けられているものであり、少数株主の経済的な利益を守るための重要な仕組みとされています。
申立てを行うことができる期間や、事前に必要な手続き(反対の意思表示など)は、利用されている手法によって異なります。 たとえば、株式等売渡請求では通知後の一定期間内、全部取得条項付種類株式では取得日の前の一定期間内というように、手法ごとに定められた要件を満たす必要があります。
申立てを検討する際は、期限を過ぎてしまうと申立ての機会を失ってしまう可能性があるため、早い段階で弁護士に相談し、手続きの要件を確認することが重要です。
価格決定申立ての手続きの流れと期間の目安
価格決定の申立てを行った場合、一般的には、次のような流れで手続きが進むとされています。
- 裁判所への申立書の提出
- 会社側・株主側双方からの主張・資料の提出
- 必要に応じた鑑定人による株価算定
- 裁判所による審尋・審理
- 裁判所による価格決定(決定書の交付)
手続きに要する期間は、事案の複雑さや、争点となる評価方法の数によって大きく異なります。 資産の評価をめぐって双方の主張が対立するケースでは、審理が長期化し、解決までに相応の時間を要する可能性があります。 なお、書類の処理にかかる日数などについては、あくまで実務上の目安であり、法律で一律に定められた期間ではない点に留意してください。
価格決定申立てにおける裁判所の判断傾向
裁判所が買取価格を判断するにあたっては、特定の評価手法だけを機械的に採用するのではなく、手続き全体の公正性や、複数の評価方法の結果を総合的に考慮する傾向があるとされています。
過去の裁判例では、DCF法、時価純資産法、類似会社比較法など、複数の算定結果を比較したうえで、中間的な水準の価格が採用されたケースも見られます。 また、株式取得の手続きが適正なプロセスを経て行われたかどうかという、手続きの公正性そのものが、価格の公正性を判断するうえでの重要な要素として位置づけられる傾向にあるともいわれています。
いずれにしても、個別の事案でどのような判断がなされるかは、裁判所の審理の内容によって左右されるため、一般論として断定することは難しい部分です。 自分のケースに近い裁判例があるかどうかについては、弁護士に相談したうえで確認することをおすすめします。
スクイーズアウトの買取価格が争われた裁判事例

カネボウ事件
カネボウ事件は、厳密には事業譲渡に反対した株主による株式買取請求権の行使をめぐる事件ですが、株式価値の算定方法に関する重要な先例として、スクイーズアウトの価格決定の実務においても参照されることが多いとされています。 平成20年3月14日、東京地方裁判所は、DCF法による鑑定評価をもとに買取価格を決定したとされています。
この事件が示唆するのは、株価算定の手法として、DCF法が絶対的な基準というわけではないという点です。 価格決定をめぐる裁判では、事案ごとに異なる評価手法や前提条件が採用されており、確立された唯一の算定方法が存在するわけではないとされています。
JCOM(ジュピターテレコム)事件
JCOM事件は、公開買付け(TOB)後に実施された全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトにおいて、取得価格の決定が争われた事例です。 この事件に関する最高裁判所の決定(平成28年)は、一般に公正と認められる手続きによって公開買付けが行われていた場合には、取引の基礎となった事情に予期しない変動がない限り、取得価格は公開買付けの価格と同額とするのが相当であるという判断を示したとされています。
この判断枠組みが示されたことにより、会社側としては、手続きの各段階を適正に踏むことが、後の紛争予防や防御の観点からも重要であると位置づけられるようになったといわれています。 少数株主の立場からしても、対象となった手続きが、通知や情報開示などの点で適正に行われていたかどうかは、買取価格の妥当性を検討するうえでの重要な着眼点になります。
不動産所有会社における価格決定申立ての解決事例
非上場の資産保有型会社では、保有資産の含み益をめぐる評価が、買取価格の大きな争点になることがあります。 実際に、賃貸用マンションを保有する会社において、多数株主による特別支配株主の株式等売渡請求が行われた後、少数株主から裁判所に価格決定の申立てが行われた事例が報告されています。
この事例では、少数株主側が、マンションの敷地について、取得当時の帳簿価格ではなく、時価で評価し直した時価純資産方式による評価を主張したとされています。 これに対し、会社側からは、提出された不動産査定書の内容の食い違いや、大規模修繕の実施状況、建築基準法上の完了検査の有無といった具体的な事情をもとに、価格を押し下げる方向での反論が行われたようです。
最終的に、裁判所での審理の結果、当初主張されていた金額よりも大幅に低い水準で価格が決定され、解決に至ったと報告されています。 この事例は、不動産のような含み益の大きい資産を保有する非上場会社では、帳簿価格と実際の資産価値との乖離が、買取価格に大きな影響を与えうることを示す一例といえるでしょう。
なお、こうした裁判例における個別の結論は、あくまでその事案固有の事情を前提にしたものです。 同様のケースであっても、資産の状態や証拠関係によって結論が異なる可能性があるため、自分の状況に当てはめて判断する際は、専門家に個別に相談することが望ましいといえます。
スクイーズアウトの買取価格に関する留意点

対価の支払いに関する資金面の留意点
スクイーズアウトを実行する側にとって、少数株主への対価をどのように準備するかは、重要な検討事項です。 株式を現金で買い取る場合、その対価は公正な価格でなければならないとされており、企業価値の高い会社ほど、必要となる資金の規模も大きくなる可能性があります。
一方、少数株主の立場からすると、対価が現金で支払われるのか、それとも他の形態で交付されるのかによって、税務上の取扱いが異なる場合があります。 受け取った対価の取扱いについては、個別の税額計算にかかわる部分であるため、税理士に確認することをおすすめします。
裁判に発展する可能性とリスク
これまで見てきたとおり、提示された買取価格が公正とはいえないと少数株主が考えた場合、裁判所への価格決定申立てという形で、争いに発展する可能性があります。
裁判に発展した場合、解決までに時間と費用がかかる可能性があるうえ、審理の結果によっては、当初想定していた価格から大きく変動することもあり得ます。 会社側にとっても、少数株主側にとっても、裁判という選択肢は、相応の負担をともなうものであるという点は、あらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
だからこそ、スクイーズアウトを検討する段階、あるいは通知を受け取った段階で、早めに専門家に相談し、見通しを立てておくことが望ましいといえます。
手続きにかかる期間の目安
スクイーズアウトの手続きが完了するまでの期間は、選択する手法によって異なります。 比較的簡素な手続きであれば数週間程度、株主総会の決議や書面の備置き期間が必要な手続きであれば、2か月前後を要する場合もあるとされています。
なお、これらの期間はあくまで実務上の一般的な目安であり、法律によって一律に定められた期間ではない点には注意が必要です。 価格決定の申立てにまで発展した場合は、審理の内容によって、さらに長期化する可能性があります。
スクイーズアウトの買取価格について相談できる専門家
スクイーズアウトの買取価格をめぐる問題は、法律・会計・税務といった複数の専門分野にまたがるテーマです。 状況に応じて、適切な専門家に相談することが、納得のいく解決への近道になります。
| 相談先 | 主に相談できる内容 |
|---|---|
| 弁護士 | 手続きの適法性の確認、価格決定申立てなどの法的対応 |
| 公認会計士・株価算定の専門家 | 買取価格の算定根拠の検証、株価評価 |
| 税理士 | 対価を受け取った場合の税務上の取扱い |
弁護士に相談できることに
弁護士には、スクイーズアウトの手続きが適正に行われているかどうかの確認や、買取価格に不服がある場合の裁判所への価格決定申立てといった、法的な対応について相談することができます。
とくに、通知を受け取ってから対応できる期間が限られているケースもあるため、できるだけ早いタイミングで相談することが望ましいとされています。 個別の事案における具体的な主張の組み立てや、証拠の整理といった実務的な対応は、専門的な知識と経験を要する部分であるため、自己判断で進めるのではなく、専門家の助言を得ることをおすすめします。
公認会計士・株価算定の専門家に相談できること
公認会計士や株価算定の専門家には、提示された買取価格の算定根拠が妥当かどうかの検証を相談することができます。 DCF法や時価純資産法など、どのような手法でどのような前提条件のもとに算定が行われたのかを確認することは、価格の妥当性を判断するうえで欠かせないプロセスです。
とくに、不動産などの含み益が大きい資産を保有する会社の場合、帳簿価格と時価との乖離が、算定結果に大きく影響する可能性があります。 専門家による客観的な検証を受けることで、提示された価格に対して、根拠のある形で意見を述べられるようになるでしょう。
税理士に相談できること
税理士には、スクイーズアウトによって対価を受け取った場合の、税務上の取扱いに関する一般的な相談をすることができます。 株式の譲渡にともなう課税関係は、対価の形態や保有していた株式の性質によって異なる場合があるとされています。
なお、個別の税額計算や具体的な申告方法については、税理士に直接相談し、確認することをおすすめします。 この記事で紹介している内容は、あくまで一般的な制度の説明にとどまるものであり、個々の状況に応じた正確な税額を示すものではない点にご留意ください。
スクイーズアウトの買取価格でお悩みなら株式会社繁栄 少数株Laboへご相談ください

非上場株式のスクイーズアウトは、通常の株式売買とは異なり、専門的な知識と豊富な経験が求められる分野です。 提示された買取価格が妥当なのかどうか、一人で判断するのは容易ではありません。
株式会社繁栄が運営する少数株Laboでは、非上場株式・少数株式の評価や売却に関するご相談を承っています。 とくに、次のようなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
- スクイーズアウトの通知が届いたが、提示された買取価格が妥当なのか判断できない
- 少数株主として株式を保有しているが、このまま持ち続けるべきか、売却すべきか迷っている
- 発行会社や大株主から提示された価格に納得できず、どう対応すればよいかわからない
- 非上場株式の評価額がわからず、今後の手続きに不安を感じている
- まずは自分の株式の価値を確認したうえで、適切な対応を検討したい
少数株Laboでは、無料相談を受け付けています。 「まずは話を聞いてほしい」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。 豊富な解決実績を持つ専門スタッフが、あなたの状況に合った最適な方法を一緒に考えます。
まとめ|スクイーズアウトの買取価格に納得できない場合は専門家へ相談を
スクイーズアウトは、多数株主や特別支配株主の意向により、少数株主を強制的に排除できる強力な制度です。 一方で、少数株主の利益を守るために、買取の対価は公正な価格でなければならないという原則や、価格に不服がある場合に裁判所へ申立てを行える制度など、法律上の保護の枠組みも用意されています。
買取価格は、DCF法や時価純資産法、類似会社比較法といった複数の評価手法をもとに算定されるのが一般的ですが、どの手法を用いるか、どのような前提条件を置くかによって、結果は大きく変わる可能性があります。 とくに、不動産のような含み益の大きい資産を保有する会社では、帳簿価格と実際の価値との乖離が、買取価格をめぐる争いの火種になりやすい傾向があるようです。
もし、あなたが少数株主として、提示された買取価格に疑問を感じているのであれば、まずは、その価格がどのような根拠にもとづいて算定されたのかを確認することから始めてみてください。 そのうえで、弁護士や公認会計士といった専門家に相談することで、自分の状況に合った適切な対応が見えてくるはずです。 納得のいく形で株主としての区切りをつけられるよう、一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら進めていくことをおすすめします。

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