少数株主の株式買取請求とは|要件・手続きの流れ・価格の決め方をわかりやすく解説

非上場会社の株式を保有していると、ふとした瞬間に「この株式、いつか手放したい」と感じることがあるかもしれません。 しかし、非上場株式には市場が存在しないため、売りたいと思ってもすぐに買い手が見つからないのが実情です。 そんなときに知っておきたいのが、株式買取請求という制度です。 一定の要件を満たせば、株主は会社に対して自分の株式を公正な価格で買い取るよう請求できる場合があります。 この記事では、少数株主の株式買取請求について、認められる要件から手続きの流れ、価格の決め方まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。 相続によって非上場株式を取得した方や、会社の経営方針に納得できず株式を手放したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

少数株主の株式買取請求権とは

少数株主の株式買取請求権は、会社法によって認められた株主の権利のひとつです。 会社の重要な決定は、原則として株主総会での多数決によって行われます。 そのため、少数株主の意見が通らず、望まない方向へ会社の経営が進んでしまうことも珍しくありません。 また、非上場株式には市場が存在しないため、株式を売りたくても買い手が見つからず、投下した資本を回収できない場合があるという問題も生じやすいといえます。 株式買取請求権は、こうした少数株主の不利益を軽減するための救済制度として位置づけられています。 制度の内容や適用場面はケースによって異なるため、まずは全体像を押さえていきましょう。

株式買取請求権が認められる趣旨

株式買取請求権が設けられている背景には、株主の多数決原理と少数株主保護のバランスという考え方があります。 株式会社では、株主総会での議決権の多数によって、合併や事業譲渡といった重要な意思決定が行われます。 このとき、反対の意思を示した株主であっても、決議の効力自体には従わざるを得ない場合があります。 しかし、それでは少数株主が一方的に不利益を被るおそれがあります。 そこで会社法は、こうした場面において、反対した株主が公正な価格で株式を会社に買い取ってもらい、会社から退出する機会を保障する場合があるとされています。 いわば、多数決に従う代わりに、投下資本を回収する出口を用意するという考え方といえるでしょう。 なお、この制度はあくまで一般的な保護の仕組みであり、個別の事案において実際に請求が認められるかどうかは、要件を満たしているかを個別に確認する必要があります。 具体的な適否については、弁護士へご相談ください。

買取請求権が認められる3つのパターン

株式買取請求権は、ひとつの制度ではなく、発生する場面によっていくつかの種類に分かれます。 代表的なものとして、次の3つのパターンが挙げられます。

パターン概要
反対株主による買取請求合併や事業譲渡など、会社の重要な議題に反対した株主に認められる場合がある権利
単元未満株式の買取請求議決権を持たない単元未満株式の株主が、いつでも行使できる場合がある権利
譲渡制限株式の譲渡不承認による買取請求譲渡制限株式の譲渡が会社に承認されなかった場合に生じる権利

それぞれ要件や手続きの流れが異なるため、自分がどのパターンに該当するのかを見極めることが重要です。 以下で、それぞれの概要を確認していきましょう。

①反対株主による株式買取請求

反対株主による株式買取請求は、会社が合併や事業譲渡といった重要な決定を行う際に、その議題に反対した株主に認められる場合がある権利です。 組織再編は会社の基礎に大きな変更をもたらす行為であるため、反対した株主に投下資本を回収する機会を保障する趣旨で設けられているとされています。 この権利を行使するには、株主総会に先立って反対の意思を通知し、かつ実際に総会で反対票を投じることが原則として必要とされています。 なお、そもそも議決権を持たない株主については、事前の通知や総会での対応を要さず、当然に反対株主として扱われる場合があるとされている点も押さえておきたいポイントです。

②単元未満株式の買取請求

単元未満株式の買取請求は、一単元に満たない株式しか保有していない株主に認められる場合がある権利です。 単元未満株主は議決権を行使できず、株主総会の招集通知も原則として送付されないなど、権利が制限された立場に置かれています。 その一方で、単元未満株式は市場での売却も難しく、証券会社によっては取り扱いを拒否されるケースもあるといわれています。 こうした不利益を緩和するため、単元未満株主はいつでも会社に対して買取を請求できる場合があるとされています。

③譲渡制限株式の譲渡不承認による買取請求

非上場会社の多くは、株式に譲渡制限を付しています。 譲渡制限株式を第三者へ譲渡するには、原則として会社(株主総会や取締役会)の承認が必要です。 もし会社が譲渡を承認しなかった場合、株主は株式を自由に手放すことができなくなってしまいます。 このような場合に備えて、会社または会社が指定する買取人に対して株式の買取を請求できる場合がある制度が用意されています。 譲渡制限株式の買取請求は、非上場会社の少数株主にとって特に関わりの深い制度といえるでしょう。

反対株主による株式買取請求の要件と手続き

ここからは、3つのパターンのうち特に手続きが複雑な反対株主による株式買取請求について、詳しく見ていきます。 どのような場面で権利が発生し、どのような手順を踏めば行使できるのかを理解しておくことが大切です。

買取請求権が認められる会社の行為

反対株主の株式買取請求権は、会社が特定の重要な行為を行う場合に限り発生するとされています。 具体的には、次のような行為が該当するとされています。

  • 事業譲渡等(事業の全部または重要な一部の譲渡など)
  • 合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付といった組織再編
  • 株式の併合
  • 株式に譲渡制限を付す旨の定款変更
  • 株式に全部取得条項を付す旨の定款変更
  • 種類株主に損害を及ぼすおそれのある行為(種類株主総会の決議が定款で排除されている場合)

これらはいずれも、会社そのものや株主の地位に大きな影響を与える行為とされています。 たとえば、株式の併合によって保有株式が1株未満の端数となり、株主としての地位を失う結果になる場合があるとされています。 このように株主にとって重大な影響が及ぶ場面だからこそ、投下資本を回収する機会として買取請求権が保障されていると考えられています。 なお、事業の全部譲渡と同時に会社の解散が決議された場合や、影響が軽微とされる簡易な事業譲受けの場合には、例外的に買取請求権が認められないケースがある点にも注意が必要です。

「反対株主」となるための要件

株式買取請求権を行使するには、まず「反対株主」に該当する必要があるとされています。 反対株主となるための要件は、株主が議決権を持っているかどうかによって異なります。

株主の区分反対株主となるための要件
議決権を行使できる株主株主総会に先立って会社へ反対の旨を通知し、かつ総会で実際に反対の議決権を行使すること
議決権を行使できない株主特段の手続きを要さず、当然に反対株主として扱われる場合があるとされています

つまり、議決権を持つ株主は、「事前通知」と「総会での反対議決権行使」の両方を満たすことが原則として求められるとされています。 どちらか一方だけでは、反対株主として認められない可能性がある点には注意しましょう。 一方で、そもそも議決権を持たない株主については、こうした手続きの負担を求めることが適切でないため、通知だけで足りる、あるいは手続き自体が不要とされる場合があると考えられています。 自身がどちらの区分に当てはまるのか判断に迷う場合は、専門家である弁護士に確認することをおすすめします

買取請求権行使の手続きとスケジュール

株式買取請求権の行使には、一定の期間制限が設けられているとされています。 一般的な流れは、以下のようなイメージになります。

  1. 会社が組織再編等の効力発生日の20日前までに、株主へ通知または公告を行う
  2. 株主が株主総会に先立って反対の意思を会社へ通知する
  3. 株主総会で実際に反対の議決権を行使する
  4. 効力発生日の20日前から前日までの間に、株式買取請求権を行使する

このように、通知のタイミングや行使できる期間が細かく定められていることがわかります。 請求を行う際は、買取請求に係る株式の数を明示する必要があるとされています。 また、株券発行会社の場合は、株券の提出が求められるケースもあるとされています。 一度、株式買取請求権を行使すると、原則として会社の承諾がない限り撤回できない場合があるとされている点にも注意が必要です。 これは、株価が変動した際に株主が投機的な行動をとることを防ぐための仕組みと考えられています。 手続きに不備があると請求自体が無効となるおそれもあるため、事前に弁護士へ相談しながら進めることが望ましいでしょう。

買取請求権が認められない・無効となるケース

株式買取請求権は強力な権利である一方、手続きに不備があると認められない可能性があるとされています。 代表的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 株主総会に先立って反対の通知を送付していなかった場合
  • 議決権を持つ株主が、株主総会で実際には反対票を投じなかった場合
  • 買取請求を行う期間(効力発生日の20日前から前日まで)を過ぎてしまった場合
  • 組織再編等の行為自体が中止された場合

このように、期限や手続き上の要件を一つでも満たしていないと、買取請求が無効と判断される可能性があるとされています。 特に、通知のタイミングや書面の内容に不備があると、後になってから請求そのものが認められなかったというケースも起こり得ます。 「反対したつもりだったのに、手続きが不十分だった」ということにならないよう、手続きの各段階で専門家のサポートを受けることが安心につながります。

単元未満株式・譲渡制限株式の買取請求

反対株主による買取請求のほかにも、少数株主に関わりの深い買取請求のパターンがあります。 ここでは、単元未満株式譲渡制限株式、それぞれの買取請求について解説します。

単元未満株式の買取請求の仕組み

株式市場では、一定数の株式を1単元として取引することが一般的とされています。 単元未満株式とは、この1単元に満たない数量の株式のことを指します。 単元未満株主は、配当を受け取れる場合がある一方で、議決権を行使することができません。 また、株主総会の招集通知が送付されないなど、経営への関与も大きく制限された立場に置かれています。 こうした単元未満株式は、通常の株式市場での売却が難しく、証券会社によっては売却自体を拒否されたり、高額な手数料を求められたりする場合があるといわれています。 このような不利益を踏まえ、単元未満株主には、いつでも会社に対して自己の保有する株式の買取を請求できる権利が認められる場合があります。 反対株主による買取請求とは異なり、組織再編などの特定の行為を前提としない点が大きな特徴といえるでしょう。

譲渡制限株式の譲渡不承認による買取請求の流れ

譲渡制限株式を第三者へ譲渡するには、会社の承認を得る必要があるとされています。 株主が譲渡承認請求を行ったにもかかわらず、会社(株主総会や取締役会などの承認機関)が不承認とした場合、株主は自由に株式を手放すことができなくなってしまいます。 このような場合に、株主を保護するために設けられているのが、譲渡制限株式の買取請求権です。 一般的な流れとしては、以下のようなステップをたどることになります。

  • 株主が会社に対して株式の譲渡承認請求を行う
  • 会社の承認機関が不承認の決定をする
  • 株主が会社または会社の指定する指定買取人に対して買取請求を行う
  • 買取価格について協議し、整わない場合は裁判所へ申し立てる

なお、会社が承認請求に対して期限内に必要な対応をしなかった場合には、譲渡を承認したものとみなされる場合があるとされています。 このように、譲渡制限株式の買取請求は手続きの各段階で専門的な判断が求められる場面が多いため、進め方に迷った際は弁護士へ相談しながら対応することをおすすめします。

株式買取価格の決定方法

株式買取請求において、多くの株主が最も気になるのが「いくらで買い取ってもらえるのか」という点でしょう。 非上場株式には市場価格が存在しないため、株式の評価方法そのものが争点になりやすいという特徴があります。 ここでは、代表的な評価方法と、価格が決まらなかった場合の対応について解説します。

非上場株式の主な評価方法

会社法上、株式買取請求における買取価格の算定方法について、具体的な計算方法が定められているわけではないとされています。 そのため、実務上は複数の評価手法の中から、会社の業態や状況に応じて適切と考えられる方法が選択される場合があるとされています。 代表的な評価方法をまとめると、以下のとおりです。

評価方法概要
DCF法将来のキャッシュフローを予測し、一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値を算出する方法
配当還元法将来支払われると期待される配当額をもとに、一定の割引率で評価する方法
収益還元法1株当たりの利益を一定の資本還元率で割ることで評価する方法
類似会社比準法事業内容が類似する上場会社の株価等と比較して評価する方法
純資産価額法会社の資産から負債を差し引いた純資産額を基準に評価する方法

これらの評価方法は、それぞれ算出の考え方が異なるため、どの方法を用いるかによって評価額が大きく変わることも珍しくありません。 実務上は、DCF法が用いられるケースが比較的多いといわれていますが、事案の内容によっては複数の手法を組み合わせて評価が行われる場合があるとされています。 なお、ここでいう配当還元法は、あくまで株式買取請求における価格算定の一手法であり、相続税や贈与税の計算で用いられる財産評価基本通達上の配当還元方式とは、算定の考え方が異なる点に注意が必要です。 両者を混同してしまうと、税務上の評価額と裁判上の評価額を取り違えてしまうおそれがあるため、正確な評価額の算定については税理士や公認会計士に確認することをおすすめします

DCF法

DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)は、会社の将来の収益力を予測し、そこに事業リスクを反映させた割引率を用いて、現在の価値に引き直す評価方法です。 算出された事業価値から負債額を差し引くことで、株式の価値を求める考え方が一般的とされています。 将来性の高い成長企業や、収益基盤が比較的安定している会社の評価に適しているとされ、裁判例においても採用されることが多い手法といわれています。 一方で、将来のキャッシュフローの予測や割引率の設定には専門的な知見が必要であり、前提条件次第で評価額が大きく変動する可能性がある点には留意が必要です。

配当還元法

配当還元法は、株主が将来受け取ると期待される配当額をもとに、一定の割引率で現在価値に引き直して株式を評価する方法です。 将来の配当予測に基づく評価であるため、安定した配当を継続している会社との相性が良いとされています。 ただし、非上場の中小企業では、そもそも配当をほとんど実施していないケースも少なくありません。 そのため、配当実績が乏しい会社では、他の評価方法と併用される場合があるとされています。

収益還元法

収益還元法は、会社の1株当たりの利益を、一定の資本還元率で割り戻すことによって株式価値を算出する方法です。 比較的シンプルな考え方である一方、単年度の利益水準に評価額が左右されやすいという特徴があります。 業績が安定している会社では一定の説得力を持つ評価方法とされていますが、業績変動が大きい会社では評価額の妥当性が争われやすいともいわれています。

類似会社比準法

類似会社比準法は、評価対象の会社と事業内容等が類似する上場会社を選定し、その株価や財務指標をもとに評価対象会社の株式価値を算出する方法です。 類似する上場会社の1株当たり純利益や純資産額などの倍率を算出し、それを評価対象会社に当てはめる形で評価が行われる場合があるとされています。 上場会社の客観的な市場データを参照できる点がメリットですが、完全に事業内容が一致する類似会社を見つけることは難しいという課題もあります。

純資産価額法

純資産価額法は、会社の貸借対照表上の資産から負債を差し引いた純資産額を基準として、株式の価値を算定する方法です。 比較的シンプルで客観性の高い評価方法とされていますが、会社の将来の収益力が評価に反映されにくいという特徴があります。 そのため、保有資産の価値が大きい一方で収益力が乏しい会社の株式評価において、純資産価額法による評価が重視される場合があるとされています。 なお、相続税・贈与税の申告における非上場株式の評価では、この純資産価額法とは別に、財産評価基本通達に定められた独自の評価ルールが適用される場合があるため、税務上の評価額を算定する際は税理士へご相談ください。

協議が整わない場合の株式買取価格決定申立て

株式買取価格は、原則として株主と会社との協議によって決定することが会社法の建前とされています。 しかし、評価方法そのものに法律上の決まりがないため、双方の主張が食い違い、協議が整わないケースも少なくありません。 このような場合の解決手段として用意されているのが、裁判所への株式買取価格決定申立てです。 株主または会社のいずれかが申立てを行うことで、裁判所が公正な価格を判断する場合がある流れとなります。 ただし、この申立てには期限が設けられており、期限を過ぎると原則として申立てができなくなるとされています。 協議が難航しそうだと感じた段階で、早めに申立ての準備を進めておくことが望ましいでしょう。 実際の申立てにあたっては、評価方法の選択や算定根拠の主張立証など、専門的な対応が求められる場面が多いため、弁護士へ相談しながら進めることをおすすめします。

少数株主ディスカウント・非流動性ディスカウントをめぐる裁判例

株式買取価格の算定においては、「少数株主ディスカウント」「非流動性ディスカウント」と呼ばれる考え方が問題になることがあります。

少数株主ディスカウント(マイノリティ・ディスカウント)とは、少数株主は会社の意思決定に影響を及ぼしにくい立場にあるため、そのリスクを株価の減価要因として反映すべきという考え方です。 一方、非流動性ディスカウントとは、非上場株式は市場性がなく換金が難しいという事情を踏まえ、その分を価格から減価すべきという考え方を指します。

これらのディスカウントの取扱いについては、裁判例によって判断が分かれているとされています。 たとえば、反対株主による株式買取請求の場面では、少数株主ディスカウントを採用することについて否定的な判断が示されたケースがあるとされています。 また、非流動性ディスカウントについても、反対株主の買取請求権が問題となった事案では、「公正な価格」での買取りを保障する趣旨に反するとして、否定的に判断されたケースがあるといわれています。

一方で、会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格決定手続が問題となった別の最高裁判例では、DCF法によって算定された評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとの判断が示されたとされています。 つまり、同じ「非流動性ディスカウント」という考え方であっても、反対株主の株式買取請求が問題となる場面と、譲渡制限株式の売買価格決定手続が問題となる場面とでは、裁判所の判断枠組みが異なる可能性があるという点は、押さえておきたい重要なポイントです。

このように、ディスカウントの適用可否は個別の事案や手続きの性質によって結論が異なり得る、非常に専門的な論点です。 「自分のケースでは減額されるのか、されないのか」といった具体的な判断については、弁護士に個別にご相談ください

交渉による少数株式の任意売却という選択肢

ここまで解説してきた法律上の買取請求権を用いる方法以外にも、株主同士や会社との交渉によって株式を売却する「任意売却」という選択肢があります。 法定の手続きによらない分、柔軟な対応がしやすい方法ともいえるでしょう。

任意売却のメリットとデメリット

任意売却の最大のメリットは、法定の買取請求手続きを経ずに、当事者間の合意だけで売買を成立させられる場合がある点にあります。 裁判所への申立てなど、時間や労力のかかる手続きが不要となるため、スムーズに進めば大幅な時間短縮につながるでしょう。 また、買取価格や売却相手を自由に決められる点も、任意売却ならではの特徴です。

一方で、デメリットも存在します。 株式買取請求権を行使した場合、価格に納得がいかなければ裁判所に価格決定を申し立てるという選択肢がありますが、任意売却では裁判所の関与がないため、価格はあくまで当事者間の交渉力に委ねられます。 専門知識や交渉力に差があると、株主にとって不利な条件での売却になってしまうおそれがある点には注意が必要です。

任意売却のメリット・デメリットを整理すると、以下のようになります。

項目内容
メリット手続きが簡便、時間と費用を抑えやすい、売却先や条件を自由に決められる
デメリット裁判所の関与がなく価格が交渉力に左右されやすい、専門知識がないと不利な条件になりやすい

専門的な交渉力を持つ第三者のサポートを受けながら進めることで、こうしたリスクを軽減できる場合があります

売却先の探し方(会社・他の株主・PE投資家など)

任意売却を検討する際、まず候補となるのが株式を発行している会社自身です。 非上場の中小企業では、経営の閉鎖性を保つ観点から、会社や他の株主が買取先となるケースが多いとされています。 そのほか、選択肢のひとつとして、非上場企業への投資を専門的に行う投資家や事業者が挙げられることもあります。 こうした投資家は一般にプライベートエクイティ(PE)と呼ばれ、対象企業の成長を後押ししながら、将来的な株式売却によるリターンを目指す投資形態とされています。 条件が合致すれば、会社以外の売却先を見つけられる可能性もありますが、非上場株式は市場に出回っておらず、買い手を見つけること自体が容易ではないのが実情です。 どの売却先が自分にとって適切かは、保有株式数や会社との関係性、希望する売却条件などによって異なるため、個別の状況を踏まえた検討が必要になるでしょう。

相続で取得した少数株式を売却する際の注意点

非上場株式の少数株主の中には、自ら望んで株式を取得したわけではなく、相続によって保有することになったという方も少なくありません。 配当がほとんどなく、経営にも関与できない株式を相続し、むしろ負担に感じているというケースも多いのではないでしょうか。 ここでは、相続で取得した少数株式を売却する際に、特に注意しておきたいポイントを解説します。

相続税評価額と売却価格の関係

非上場株式を相続した場合、相続税の申告にあたって株式の評価額を算定する必要があります。 非上場株式の相続税評価額は、会社の規模や株主の立場などに応じて、財産評価基本通達に定められた方法により算定される場合があります。 この相続税評価額は、あくまで税務上の評価であり、実際に株式を売却する際の市場価値や買取価格と必ずしも一致するとは限りません。 中小企業の株式売買では、相続税評価額が価格交渉の目安として用いられる場合があるとされていますが、相続税評価額をそのまま売却価格として採用することが常に妥当とは言い難いと考えられています。 売却価格の妥当性を検討する際は、相続税評価額とは別に、株式そのものの経済的な価値を評価することが望ましいでしょう。 なお、個別の相続税額の計算については、税理士にご相談ください

低額譲渡と贈与税リスク

相続で取得した少数株式を売却する際、特に注意したいのが贈与税のリスクです。 株式の売却価格が、その株式の適正な時価に比べて著しく低い金額であった場合、買主側に贈与税の負担が生じる可能性があるとされています。 これは、時価と売却価格との差額分について、実質的に贈与を受けたものとみなされる場合があるという考え方に基づくものです。 なお、この「著しく低い価額」に該当するかどうかについては、相続税法上、所得税法のように明確な数値基準が定められているわけではないとされています。 そのため、個別の取引が該当するかどうかは、取引の実態や株式の性質などを踏まえて総合的に判断される場合があると考えられています。 「相場より安く売れば税金は関係ない」と考えてしまうと、思わぬ税務リスクを招くおそれがあるため、売却価格を決める際は、事前に税理士へ相談し、適正な時価の考え方を確認しておくことが重要です。

少数株主の株式買取請求で困ったときの相談先

株式買取請求は、要件の確認から手続き、価格交渉まで、専門的な判断が求められる場面が数多く存在する制度です。 ここでは、実際に困ったときにどこへ相談すればよいのか、具体的な選択肢を紹介します。

弁護士・税理士への相談が必要な理由

株式買取請求に関する悩みは、大きく「法律面」「税務面」の2つに分けられます。 反対株主としての要件の確認や、買取請求の手続き、価格決定申立てといった法的な手続きに関する部分は、弁護士の専門領域です。 一方、相続税評価額の算定や、低額譲渡による贈与税リスクの検討といった税務に関する部分は、税理士の専門領域とされています。 それぞれの専門家が異なる役割を担っているため、状況に応じて適切な専門家に相談することが重要です。 特に、相続によって株式を取得したケースでは、法律と税務の両方が絡み合う場面が多く、どちらか一方だけの知識では対応が難しいことも少なくありません。 自己判断で手続きを進めてしまうと、要件の見落としや税務上の不利益につながるおそれもあるため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

非上場株式の相続・売却は株式会社繁栄 少数株Laboへご相談ください

非上場株式や少数株式の相続・売却は、上場株式とは異なり、専門的な知識と豊富な経験が求められる分野です。 株式会社繁栄が運営する少数株Laboでは、非上場株式の譲渡・売却に関するご相談を承っています。 こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

  • 会社に株式買取請求をしたいが、要件を満たしているか不安
  • 発行会社に買取りを断られてしまった
  • 提示された買取価格が妥当なのか判断できない
  • 遺品整理で非上場株式の株券が出てきたが、どうすればいいかわからない
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少数株Laboでは、無料の株式価値算定・売却サポートを受け付けています。 「まず話を聞いてほしい」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。 豊富な解決実績を持つ専門スタッフが、あなたの状況に合った最適な方法を一緒に考えます

まとめ|少数株主の買取請求は制度理解と専門家への相談が重要

ここまで、少数株主の株式買取請求について、制度の趣旨から要件、手続きの流れ、価格の決め方まで幅広く解説してきました。 株式買取請求権には、反対株主による買取請求・単元未満株式の買取請求・譲渡制限株式の買取請求という3つのパターンがあり、それぞれ要件や手続きが異なります。 また、買取価格の決定にあたっては、DCF法をはじめとする複数の評価方法が用いられるほか、少数株主ディスカウントや非流動性ディスカウントといった専門的な論点も関わってくることがわかりました。

法律上の買取請求権によらず、交渉による任意売却という選択肢もあり、相続によって株式を取得した方は、相続税評価額との違いや贈与税リスクにも注意を払う必要があります。 いずれの場面においても共通していえるのは、個別の事情によって最適な対応は異なるということです。 今回ご紹介した内容は、あくまで一般的な制度の説明にとどまるため、実際の判断にあたっては、弁護士や税理士といった専門家に相談しながら進めることが望ましいでしょう。

非上場株式・少数株式の扱いに悩んでいる方は、まず自分の株式の価値を知ることから始めてみるのもひとつの方法です。 少数株Laboでは、そうした第一歩を踏み出したい方に向けて、無料の株式価値算定サービスをご提供しています。 「売るべきか、保有を続けるべきか」を判断するためにも、ぜひ一度ご相談ください。

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